夏の食中毒について

夏は気温が30〜40度近くになり、湿度も高いため、細菌にとって「最高の繁殖環境」になり、細菌性の食中毒が増加する時期です。たった1個の細菌が、数時間で数百万個に増殖することもあります。特に夏場に警戒したい3つの細菌についてまとめました。
まずはカンピロバクターについてです。

・カンピロバクター
特徴:非常に少ない菌量でも発症します。熱に弱い特徴があるため、食材の中心部まで火を通せば完全に死滅します。
原因:市販の鶏肉の多くが汚染されていると言われており、鶏肉の他牛や豚のレバーも汚染されている場合があります。それらの食品に十分に火を通さず食べると発症する場合があります。また、殺菌が不十分な井戸水や湧き水を飲むこと、犬猫等のペットに触った後に十分に手を洗わないまま食事をすることでも発症することがあります。

潜伏期間:2〜5日(忘れた頃にやってくるのが特徴)
症状:激しい腹痛、下痢、高熱
対策:カンピロバクターは特に加熱と二次汚染防止が重要になります。
1.確実な加熱
カンピロバクターは熱に弱いため、中心部までしっかりと熱を通せば完全に死滅します。
調理の際の加熱の目安としては、中心部の温度が75℃以上で1分間以上の加熱が必要です。(70℃で3分、65℃で15分などでも同等の効果が得られます)
基準としては肉の中心部の色が変わる(ピンク色から白に変わる)まで、また切ったときに赤い肉汁が出てこない状態になるまでしっかりと火を通します。
外食時にはレバ刺し、鶏わさ、鳥のタタキなど、生や半生の鶏肉料理は、どれほど新鮮と謳われていても感染リスクが非常に高いため、食べるのを避けるのが最も安全です。
家庭用の低温調理器で作るサラダチキンや鶏レバーは人気ですが、肉の大きさや調理器の性能、お湯の量によって「設定温度=肉の中心温度」にならないケースが多々ありますので、レシピの加熱時間を過信せず、心配な場合は中心温度計を使用するか、厚生労働省の基準(65℃で15分以上など)を満たすよう十分に余裕を持った加熱を行ってください。

2.二次汚染を防ぐ
生の鶏肉を触った手やまな板から、他の食材(特に生で食べるサラダの野菜など)に菌が移ってしまうことを「二次汚染」と呼びます。これが原因で食中毒になるケースが非常に多いです。
まず生の鶏肉を洗わないことが重要で、パックから出した鶏肉をシンクで水洗いすると、飛び散った水しぶき(目に見えない細かい霧状のドリップ)と一緒にカンピロバクターがシンク周り、食器、他の食材に広がってしまいます。
ドリップ(肉から出た赤い水分)が気になる場合は、洗わずにキッチンペーパー等でそっと拭き取るようにしてください。
まな板や包丁は、肉用と野菜・生食用で完全に使い分けるのが理想です。1つのまな板を使う場合は、必ず「先に野菜を切り、肉は最後に切る」という順番を徹底します。
生の鶏肉に触れた指先で、冷蔵庫のドア、調味料のボトル、水道の蛇口を触ると菌を広げてしまいます。肉に触ったら、その都度、石けんを使って流水でしっかりと手を洗ってください。
生の鶏肉を調理した後は、キッチン器具をしっかりと殺菌消毒します。
使い終わったまな板や包丁は、食器用洗剤でよく洗ったあと、「熱湯を回しかける」、または「塩素系漂白剤(ハイターなど)をスプレーして数分置く」ことで確実に除菌できます。
生の鶏肉を冷蔵庫に保管する際は、ドリップ(肉汁)が漏れて他の食品(特に作り置きや生野菜)にかからないよう、ビニール袋や密閉容器にしっかりと入れて保存してください。
次回はサルモネラ菌について説明していきます。